※この記事は、メーカーや販売店が公開している仕様をもとにした比較です(実機レビューではありません)。記事内のリンクには広告を含みます。価格は2026年10月20日時点のもので、変わることがあります。
DTMや宅録を始めると、まず悩むのがモニターヘッドホン選びです。モニターヘッドホンとは、録音やミックス(音のバランス調整)の作業に使うことを想定して作られたヘッドホンのことです。
この記事では、定番として名前がよく挙がる6機種を、メーカーが公開している仕様だけで比べます。音の聞こえ方の評価はしません。そのかわり「密閉型か開放型か」「インピーダンス」「ケーブルが外せるか」など、数字や構造で分かる違いを、なるべくやさしく説明します。
比較するのは、SONY MDR-CD900ST、SONY MDR-M1、audio-technica ATH-M50x、ATH-M40x、beyerdynamic DT 770 PRO(80Ω)、audio-technica ATH-R70xa の6機種です。
結論:目的別のおすすめ
- 予算を抑えて最初の1台がほしい:ATH-M40x(6機種でいちばん安い。ケーブル着脱式で2本付属)
- 国内スタジオで長く使われている定番の仕様にそろえたい:MDR-CD900ST
- ソニーの新しいモニターで、ケーブルを外せるモデルがほしい:MDR-M1(着脱式ケーブル2本付属)
- ケーブル着脱式で、ドライバーが大きめの密閉型がほしい:ATH-M50x(45mm)
- インピーダンスを選べる海外定番がほしい:DT 770 PRO(32Ω/80Ω/250Ωの3種類)
- 静かな部屋でのミックス用に開放型がほしい:ATH-R70xa(470Ωなので出力に余裕のある機材と組み合わせる前提)
歌や楽器を録音する人は、まず密閉型から選ぶのが無難です。理由は次の「選び方」で説明します。
モニターヘッドホンの選び方
密閉型と開放型のちがい
密閉型は、耳を覆うハウジング(外側のカップ)が閉じている構造です。中の音が外に漏れにくく、外の音も入りにくくなっています。
開放型は、ハウジングの外側が網などで開いている構造です。空気が通るため、ヘッドホンの音が外に漏れ、まわりの音も耳に入ります。
この構造の差は、録音のときに大きく関わります。ボーカルやアコースティックギターをマイクで録るとき、ヘッドホンから漏れたクリック(メトロノームの音)や伴奏をマイクが拾ってしまうことがあります。これを防ぎたいなら、音漏れしにくい密閉型が向いています。家族が近くにいる部屋や、夜の作業でも使いやすい構造です。
一方、開放型はマイクを使った録音には向きません。録音をしない時間に、静かな部屋でミックスやアレンジの作業をする用途で使うタイプです。今回の6機種では、ATH-R70xa だけが開放型です。
ドライバー径
ドライバーは、電気の信号を空気の振動(音)に変える部品です。ドライバー径はその直径のことで、今回の機種は40mmか45mmです。数字が大きいほど良い、という単純なものではないので、ほかの項目とあわせた目安として見てください。
インピーダンス
インピーダンスは、ヘッドホンの電気の流れにくさを表す数字で、単位はΩ(オーム)です。数字が大きいほど、同じ音量を出すのに大きな電圧が必要になります。
30〜60Ωくらいなら、スマホやパソコンにもつなぎやすい範囲です。80Ωや470Ωのように高いモデルは、スマホやノートPCの出力だけでは音量が足りないことがあります。オーディオインターフェース(パソコンに音を出し入れする機材)のヘッドホン出力や、ヘッドホンアンプと組み合わせる前提で考えると安心です。オーディオインターフェース選びは初心者向けオーディオインターフェース比較でまとめています。
再生周波数帯域
再生周波数帯域は、ヘッドホンが出せる音の低い側から高い側までの範囲です。単位はHz(ヘルツ)で、数字が小さいほど低い音、大きいほど高い音を表します。人が聞き取れる範囲は、一般に20〜20,000Hzほどとされています。
ただし測り方はメーカーごとに違うため、メーカーをまたいで数字の大きさだけで比べるのはおすすめしません。同じメーカーの中で比べる参考にとどめるのがよいでしょう。
ケーブルの着脱
ケーブルが外せる(着脱式)と、断線したときにケーブルだけ買い替えられます。長さの違うケーブルに付け替えられるのも便利です。固定式は、取り回しの心配が少ない反面、ケーブルが傷んだときは修理に出すことになります。
重さ
長時間かけるなら、重さも見ておきたい項目です。ただし、重さを「ケーブルを除く」で出しているメーカーと「ケーブル込み」で出しているメーカーがあるので、比べるときは表記に注意してください。
6機種の仕様比較表
| モデル | 型式 | ドライバー径 | インピーダンス | 再生周波数帯域 | ケーブル | 重さ | 楽天価格(ショップ) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| SONY MDR-CD900ST | 密閉型 | 40mm | 63Ω | 5〜30,000Hz | 着脱式の記載なし(コード長2.5m) | 約200g(コード除く) | 23,650円 (イケベ楽器楽天ショップ) |
| SONY MDR-M1 | 密閉型 | 40mm | 50Ω | 5〜80,000Hz | 着脱式(1.2m/2.5mの2本付属) | 約216g(ケーブル除く) | 40,590円 (Rock oN Line 楽天市場店) |
| audio-technica ATH-M50x | 密閉型 | 45mm | 38Ω | 15〜28,000Hz | 着脱式 | 285g(コード除く) | 24,200円 (オーディオテクニカ公式楽天市場店) |
| audio-technica ATH-M40x | 密閉型 | 40mm | 35Ω | 15〜24,000Hz | 着脱式(1.2mカール/3.0mストレート付属) | 240g(コード除く) | 16,940円 (オーディオテクニカ公式楽天市場店) |
| beyerdynamic DT 770 PRO(80Ω) | 密閉型 | 公表なし | 80Ω | 5〜35,000Hz | 固定式(取り外し不可) | 約375g(ケーブル込み) | 31,790円 (島村楽器) |
| audio-technica ATH-R70xa | 開放型 | 45mm | 470Ω | 5〜40,000Hz | 着脱式(3.0m) | 約199g(コード除く) | 54,450円 (オーディオテクニカ公式楽天市場店) |
DT 770 PRO のドライバー径は、メーカー公式サイトでは公表されていません。また、DT 770 PRO の重さはケーブル込みの数字なので、ほかの機種(ケーブル除く)とそのまま比べられない点に注意してください。
1機種ずつの特徴
SONY MDR-CD900ST
国内のレコーディングスタジオで長く使われてきた密閉型モニターです。販売元は株式会社ソニー・ミュージックソリューションズです。
- 密閉ダイナミック型、40mmドライバー
- インピーダンス63Ω、再生周波数帯域5〜30,000Hz
- 質量 約200g(コード除く)、コード長2.5m
- 公式の仕様に「着脱式」の記載はありません
イヤーパッドやドライバー、プラグ付きコードなどの補修部品が単品で販売されていて、楽天市場でも見つかります。部品を替えながら長く使いたい人には、この点も選ぶ理由になります。
SONY MDR-M1
ソニーのクリエイター向けの密閉型モニターヘッドホンです。ケーブルが着脱式で、1.2mと2.5mの2本が付属します。
- 密閉ダイナミック型、40mmドライバー
- インピーダンス50Ω(1kHz)
- 再生周波数帯域5〜80,000Hz(6機種の中でいちばん広い数字)
- 質量 約216g(ケーブル除く)
机の前で作業するときは短いケーブル、楽器を弾きながら録るときは長いケーブル、と使い分けられます。なお、よく似た名前の「MDR-M1ST」という別モデルもあるので、買うときは型番をよく確認してください。
audio-technica ATH-M50x
オーディオテクニカのプロ向けモニター「Mシリーズ」の上位モデルです。6機種の中で、ドライバー径が45mmと大きめの密閉型です。
- 密閉ダイナミック型、45mmドライバー
- インピーダンス38Ω、再生周波数帯域15〜28,000Hz
- ケーブルは着脱式(バヨネット式のロック機構付き)
- 質量285g(コード除く)
バヨネット式とは、差し込んでひねると固定される仕組みのことです。作業中にケーブルが抜けにくい構造になっています。重さは6機種の「ケーブル除く」表記の中ではいちばん重い数字です。
audio-technica ATH-M40x
ATH-M50x と同じMシリーズのモデルで、今回の6機種の中で楽天価格がいちばん安い機種です。
- 密閉ダイナミック型、40mmドライバー
- インピーダンス35Ω、再生周波数帯域15〜24,000Hz
- ケーブルは着脱式。1.2mカールコードと3.0mストレートコードが付属
- 質量240g(コード除く)
インピーダンスが35Ωと低めなので、スマホやパソコンにも直接つなぎやすい仕様です。最初の1台として、予算を抑えたい人に向いています。
beyerdynamic DT 770 PRO(80Ω)
ドイツのbeyerdynamic(ベイヤーダイナミック)の密閉型モニターです。インピーダンスが32Ω・80Ω・250Ωの3種類から選べるのが特徴で、この記事では80Ω版を取り上げています。
- 密閉型(ドライバー径はメーカー公式で公表されていません)
- インピーダンス80Ω(32Ω/250Ω版もあり)
- 再生周波数帯域5〜35,000Hz
- ケーブルは固定式(メーカーによると、ケーブル着脱式は「PRO X」シリーズの特徴)
- 重さ 約375g(ケーブル込み)
スマホに直接つなぐことが多いなら32Ω版、オーディオインターフェースにつなぐ前提なら80Ω版、というように、使う機材に合わせて選べます。ケーブルを外せるモデルがほしい場合は、別シリーズの「DT 770 PRO X」も候補になります。
audio-technica ATH-R70xa
今回の6機種で唯一の開放型です。オーディオテクニカのプロ向けリファレンスヘッドホンで、2025年2月14日に発売されました。
- オープンバック(開放)ダイナミック型、45mmドライバー
- インピーダンス470Ω、再生周波数帯域5〜40,000Hz
- ケーブルは着脱式(3.0m)
- 質量 約199g(コード除く)。6機種でいちばん軽い数字
開放型なので、マイクを立てて録音するときのモニターには向きません。インピーダンスも470Ωと高いため、ヘッドホン出力に余裕のあるオーディオインターフェースやヘッドホンアンプと組み合わせる前提で考えましょう。録音用の密閉型とは別に、ミックス用の2台目として検討するとよいでしょう。
まとめ
- 歌や楽器をマイクで録るなら、音漏れしにくい密閉型(CD900ST・M1・M50x・M40x・DT 770 PRO)から選ぶ
- 予算を抑えたいなら、ATH-M40x(16,940円)
- ケーブルを外して交換したいなら、MDR-M1・ATH-M50x・ATH-M40x
- 静かな部屋でのミックス用に2台目を考えるなら、開放型のATH-R70xa(出力に余裕のある機材とあわせて)
- インピーダンスが高いモデルは、オーディオインターフェースのヘッドホン出力とセットで考える
ヘッドホン以外にそろえる機材は、DTM・宅録を始める機材リストにまとめています。配信でパソコンの音とマイクを一緒に流したい人は、ループバック機能付きオーディオインターフェース比較もあわせてどうぞ。









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